じか入始動はブレーカからマグネットを経由して接点で電源を直接入れる方法です。
始動電流はモ-タ全負荷電流の5~6倍になる為ブレーカ容量もそれに耐えられるだけの容量が必要となります。
小さいモータならそれでいいのですが、大きいモータになると、モータ容量に比例して電磁接触器やブレーカも容量が大きくなります。
電流の使用量が大きくなりコスト的にも無駄が生じます。
その為5.5kwか11.0kw以上のモータにはスターデルタ始動を使うようにしています。
スターデルタ始動では、始動電流を約1/3にすることで機器もランクを下げることができ、大きな始動電流を回避できるようになります。
具体的にはスター結線で始動電流を約1/3にし一定時間後(大きな始動電流を回避した時点)にデルタ結線に切り替え通常の安定運転をするようにします。
この為、接触器は増えますが、1ランク容量下の機器が使えるので機器が小さくなりスペースの削減と費用の削減が出来ます。
それでは、じか入始動(全電圧始動)とスタ-デルタ始動(減電圧始動)を比べてみましょう。
じか入始動(全電圧始動)
MC:電磁接触器
IN :モータの全負荷電流
IST :モータのじか入始動電流
概要,動作
・電磁接触器からモ-タにじかに定格電圧を入れて始動する方法。
・始動電流が大きい為,電流を開閉するのに,モ-タ全負荷電流の10倍程度の電流を閉じることができ,8倍の電流を遮断できる電磁接触器を使用 します。
電流特性
・始動電流はモ-タ全負荷電流の5~6倍。
トルク特性
・始動トルクは大きく,制御されません。
設備費用
・最も安価。
じか入始動の接続図例
スタ-デルタ始動(減電圧始動)
MC:電磁接触器
IN :モータの全負荷電流
IST :モータのじか入始動電流
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概要,動作
・MCSを投入すると各巻線( )には線間電圧の1/√ (1/ルート3)の電圧が加わり運転します, 加速後してからMCSを開いてMC△にして,巻線を△結線にして全電圧運転に入ります。
電流特性
・小さい。(モ-タ定格電圧印加時の1/3)
トルク特性
・始動トルクは小さい。(モ-タ定格電圧印加時の1/3)
設備費用
・やや安価。
3電磁接触器式
・一般的に用いられているスタ-デルタ方式です。
・スター結線からデルタ結線の時、切換時にモ-タが電源から一時的に離れるため,全電圧印加時に瞬間的に大きな突入電流がでる場合があります。
・主電磁接触器によりモ-タは電源から切離されていますので,モ-タ停止中はモ-タ巻線には電圧は印加されません。
・消防用設備,ポンプ用設備,および冷暖房設備,スポ-ツ設備,農事用設備等の季節運転設備のモ-タ用には3電磁接触器方式を推奨いたします。
・停止中のモ-タ巻線の漏洩電流による絶縁劣化に対して安全です。
2電磁接触器式
・こちらも同様に一般的に用いられているスタ-デルタ方式です。
・スター結線からデルタ結線切換時にモ-タが電源から一時的に解放されるため,全電圧印加時,瞬間的に大きな突入電流が発生する場合があります。
・小形で経済的。
マグネットを2個仕様の為、1個分のマグネットの節約ができます。
・停止中でもモ-タ巻線に電圧が印加されておりますので,保守,点検の安全のために配線用遮断器等の電源用開閉器を設置し,モ-タ停止中は確実にこれを切ってください。
電磁開閉器とブレーカとの選定表